また何かそして別の聴くもの

だらだら坂から - 日々のヴァラエティ・ブック

短編小説

木曜日を左に曲がる

午前中のゲリラ雷雨が嘘のように外が明るくなった。明日、休みを頂いた私はもっと明るくなった。胸いっぱいの解放感が早めの退勤を促す。ターンレフト・ターンライト。右に曲がればいつもの帰路だが、今日は左に曲がり、買い物にでも行こう。 ● 阪急オアシス…

まるで僕らはエイリアンズ

今朝、フジテレビのトーク番組「ボクらの時代」に稲川淳二さんが出ていた。所謂「怪談」の語り手需要は、令和になっても安定しているのだろうか。子供たちがまだ小さい頃、「ほんとにあった怖い話」とか「耳袋」とかを、家族でワーキャー叫びながら楽しんだ…

バナナブレッドのプディング

ここ関西にも、災害級の大雨というニュースが届いていたが、いまのところ大丈夫そう。ひどくなるのは明日か。とにかく神戸三宮はすごい人混み。 宇宙人ジョーンズなら、まさか今、地球がパンデミックの最中とは気付くまい。マスクはちょっと風変わりな民族衣…

Close Your Eyes

結局今年もお盆帰省の自粛が呼びかけられている。でもどうなんだろう、昨年よりきっと人は動くはず。じぶん一人だけでも父の墓参りに、と考えてはみたが、田舎は色々喧しいのだった。実家区域の情報をぎりぎりまで収集してから決めようと思う。 ● 先日購入し…

アンドロイドは林檎農園の夢を見るか

長年使い続けてきたandroid端末に別れを告げ、この春、人生初のiPhoneに機種変更した。本当に人生初、なのである。初代Galaxyから始まった自らのスマホ・ヒストリーは、ソニーXperiaがその大半を占めた。 その理由は唯一つ、Walkmanエンジン搭載による音の良…

月曜の夜も出たくない

台風の影響で大荒れの連休四日目。明日から三日間は出勤。 月曜が祭日の際は、火曜朝一の会議のデータ資料準備が必要で、たかだか一時間の作業のためだけにいつも休日出勤している。 しかしいざ出かけようとすると、おそろしい暴風雨。やはり昨日出勤すれば…

原平合戦

今日も晴れ。夏本番。しかし相も変わらずの自宅と仕事場の往復に、心躍る機会は少ない。そしてさすがに、メダルの獲得数と新規感染者数のフリップを交互に眺める日々はとても辛い。みんな街角のペシミスト。故郷の冬を歩きたくなる。 ● 西宮北口駅で下車し、…

Summer Into Winter

今日も晴れ。暑い。いよいよ必須アイテムとなった4点セット、冷感スプレー、携帯扇風機、日傘、そしてマスクを着用して出かける。戦闘服はUNIQLOエアリズムポロシャツだ。 ● 本日から開催のさんちか古書大即売会へ。思ったより人が多かった。田中小実昌『コ…

短編の断片 #4

今日も晴れ。昨夜洗った車に乗ると気持ちがよくなり、そのままドライヴに出た。フロントガラスには悲しくなるほど「郊外」な景色が流れ続ける。 ファストフード店、ドライヴ・スルー、回転寿司チェーン店、ホーム・センター、ファミレス、中古車センター、コ…

短編の断片 #3

今日も晴れ。セミのユニゾン・コーラスもSMAPを超え、46グループなみの分厚さになってきた。世間は四連休だが、ぽつぽつ仕事に出る。7月はもう終わろうとしているが引き続き呑気にいこう。僕の人生にも事件は起きない。 ● オリンピックは昨晩、無事に開会式…

短編の断片 #2

今日も晴れ。雲がいよいよ「夏み」を帯びてもこもこしてきた。 どうしようどうしよう夏が終わってしまう 心の中の絲山秋子がそう叫んだのも束の間、職域での些細ないざこざが暗雲のように立ち込め溜息をつく。人に言わせりゃ指のささくれ程度の気鬱だが、堪…

短編の断片 #1

交尾したまま浮遊する二匹の蜻蛉。カラカラに干からびたカナブンとミミズの死骸。なぜかその光景で梅雨明けを実感する。ギンギンギラギラの夏なんです。夏なんだし、と歌ったのは星野みちるさんでしたね。 ● 冷房の効いた部屋、ふんわりソファーで、アイステ…

清張松本がすべらない話

昨日は半年おきの検査で病院へ。結果は悪くなく、ほっと胸を撫で下ろす。これで次は一年後となった。気を良くした午後、お気に入りのパン屋に行き、夏野菜のサンドウィッチ、カレーパン、などを買った。自宅のリヴィングでそれらを頬張りながら、呑気にTV…