また何かそして別の聴くもの

だらだら坂から - 日々のヴァラエティ・ブック

東京のロビンソン・クルーソー・または恋は言ってみりゃボディー・ブロー

小林信彦週刊文春連載「本音を申せば」が突如の最終回。自分は毎号購読するほどのユーザーではないが、近田春夫「考えるヒット」、坪内祐三文庫本を狙え!」、数々の名物連載が終了していった中、何となく小林先生のだけは永遠に続くような気がしていた。

タイトルの「数少ない読者へ」が痛々しい。音楽プロデューサーの松尾潔さんのツイートに「心ざわつく」とあった。まさしく。とかなんとか、勝手に体調を気遣うのはいいが、「決定版 日本の喜劇人」も買ってない奴がなにを、と怒られそうだ。

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その同じ号に、小沢健二まさかのスキャンダル記事。それはちょっと。渋谷系全盛期ならまだしも、いや、もはや文春購読層は渋谷系体験世代なのか?

そういえば先週の土曜日にやってた「THE MUSIC DAY 音楽は止まらない」(日テレ系音楽番組)で、あいみょんが再び小沢健二を絶賛していた。このたびの文春砲を浴びた、Awesome City ClubのPORINも、あいみょんと同じぐらいの世代。

「ヘッド博士」が祝30周年というから、30年前のポップ音楽の再評価を、所謂「渋谷系」(渋谷系の定義の議論は置いといて)が話題になりだした1990年に当てはめると面白い。30年前は1960年となるから、「はっぴいえんど」どころか、当時の邦楽のメインストリームは、坂本九フランク永井ザ・ピーナッツペギー葉山小林旭、でしょう。DIGしまくった渋谷系ムーヴメントのリファレンスに、60年代半ばの筒美京平作品はあっても、いわゆる1960年前後の洋楽カヴァーポップス時代はなかったわけで。

渋谷系って、ほんのちょい昔に思えても、あいみょんたち(?)は随分遡ったカルチャーを再評価していることになるのだと、年数で考えると面白かった。

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ホン・サンス​監督の最新作「逃げた女」。観に行かなきゃ、と思いつつ行けてない映画のひとつ。同じ職場の映画好きの女性が強く奨めてくれた。いつも感嘆するのは、彼女がミニシアター系の話題作を殆ど観覧していること。日々どうやって劇場で観る時間を捻出しているのだろう。自分はというと(特に映画は)、歳を重ねる毎に情熱がじわじわ失われている。これは情熱退行日記になりそうだ。とほほ。