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だらだら坂から - 日々のヴァラエティ・ブック

バターのようになめらかに

朝食に甘いものを欲し、昨日買った横浜元町発祥のベーカリー『ポンパドウル』のマリトッツォを食べる。勿論、味は申し分のない美味しさ。ブォーノ。

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ただ朝からコレはちょっと重いと感じた。イタリア人は朝からマリトッツォを囓る、という慣習は実話なのだろうか?

バター、生クリーム、卵料理。摂り過ぎはよくないものほど美味し、とはこれ人生の真理か。 ミオ ディオ!

上記食材を愛好する私は、いつも悪玉コレステロール値が高く、昨年は薬を処方されるほどにまで上昇していたのだ。

しかしながら、この6月の健康診断で全ての項目が正常値に転じていたのを良いことに、またしても最近、各種スイーツに手を出し始めたのだった。喉元過ぎればなんとやら、のような甘いツッコミでは抑止力に成らない。

人生は祭だ。共に生きよう。

 フェデリコ・フェリーニの映画『8 1/2』のラストシーンでの有名な台詞だ。

昨年の「​生誕100年フェデリコ・フェリーニ映画祭」は6本中3本しか観に行けなかった。10年ぶりかに観直した「甘い生活」。こんなに長かったっけ?とかさまざまな発見があった(笑) また、品のある素敵な御老輩がたくさん集っていたのが印象的であった。

とは言え、自分のナンバーワン・フェリーニは、その6本中にあらず、オムニバス映画「世にも怪奇な物語」の第3話「悪魔の首飾り」なのだった。ストーリーもほとんど記憶にないものの、主役のテレンス・スタンプの表情、得意の退廃を表現した全体の色彩、それら全てをもう一度体感したい一編だ。

芳醇な薫り立ち上る珈琲と、美味しいバターを塗ったトースト、グリーン・サラダとスクランブル・エッグ。

自分のような庶民には、このシンプルな朝食が一番で、このささやかなひとときが一番幸せなのだと、最近つくづく思うようになった。

かつての愛用バターは、神戸フロインドリーブのオリジナル・バター。未だに自分内首位を独走している。自社トーストに合わせてチューニングされているらしいのだが、どのトーストも見事に変身させてくれます。また買いにいかなければ。

ブティック | FREUNDLIEB

混ぜもののないパンはすこぶるうまいが、誘惑となるのはバターだ(ダグラス・ウィリアム・ジェラルド)

バターが食べたくなる小説、という誰かの書評が印象的で気になっていた、表紙(新潮文庫版)も奇抜な柚木麻子「BUTTER」。そして今日も誰かのiPhoneから鳴り始めたBTS「Butter」。バターのようになめらかに、と彼らは唄う。

世界はバターを愛している。